伊藤伝右衛門邸

伊藤伝右衛門邸のある福岡県飯塚市とは県内では筑豊と呼ばれる地域で昔は炭鉱の町としてとても栄えていた場所でした。それ以上の知識は私にはなかったのですが、付き合い初めて間もない彼が、かつての炭鉱王、伊藤伝右衛門の住居跡にデートで連れて行ってくれました。それが伊藤伝右衛門邸です。広大な敷地に当時のままの大邸宅と手入れの行き届いた庭園があり伊藤伝右衛門の繁栄ぶりを伺い知ることができました。しかし、その屋敷の中を歩いていて感じたのは伊藤伝右衛門の威光よりも、権力にものを言わせ半ば強引に妻にした若き白蓮の悲哀でした。何間も続く広い和室には白蓮ゆかりの様々なものが展示されていました。伊藤伝右衛門邸でありながら、私には白蓮の姿ばかりを感じる場所に思えました。中でも一番印象に残ったのは、白蓮が自分だけの場所にしていたという二階の小さな隠れ家のような小部屋でした。木枠のガラス窓から見える贅沢な庭がかえって哀愁を誘うように感じられました。私が訪れた日が雨降りだったのでなおさら哀しげに見えたのかもしれません。伊藤伝右衛門邸は、当時の炭鉱王の資料館としての価値だけではなく、男女の心模様をドラマティックに感じることもできる興味深い場所だと思います。雛祭りの頃には白蓮の雛人形も展示されているので是非また行きたいと思っています。
amagurimaron (40代女性)Feb 2017