小泉八雲熊本旧居

基本情報

 

所在地:〒860-0801 熊本市中央区安政町2-6

 

1 熊本地震を乗り越えて

小泉八雲が第五高等中学校、現在の熊本大学で英語の教員をしていた時に住んでいた家が、今も熊本の鶴屋デパートの裏手にあります。訪れたのは2018年8月で、2016年4月にあった熊本地震の影響でこの少し前までは閉館していて、『開館しました』と言う旨が入口に書いてありました。熊本市内やその近辺には、地震の影響の残る場所が熊本城をはじめとしてまだいくつも残っています。それらの復旧するさまなどを見て、思ったのは、施設や建物などはもちろん観光資源ですが、それは一つの側面でしかなく、例えば小泉八雲旧居を例に挙げるなら、かつて住んでいたと言う文豪の生活に時を超えて今現在触れられる貴重な場所の保護・保存・保善、これからも残して行こうという意識のようなものを強く感じました。

 

2 小泉八雲と日本

小泉八雲本人たっての希望で、住宅は完全は日本建築で、部屋は畳敷き、南側には庭が付いています。旧居だと知らなければ、いわゆる古民家で小泉八雲に合わせて天井が高いという事もありません。さらに、立派な神棚があって、毎日手を合わせていたそうです。この神棚も、小泉八雲の希望で取り付けられたものです。ここまで徹底していると、単なる日本好き・日本びいきではなく、日本文化を受け入れるのではなく自分自身が日本文化に溶け込もうとしていたように思え、熊本赴任時代の後の日本への帰化も納得できるような気がします。アイルランドとギリシアの血を引き、キリスト教圏の中でも、ケルト神話やギリシア神話等、古い神々の名残のある地域と近しい関係という点も、八雲が日本という多神教かつ多宗教の土地に違和感なく受け止める基礎地だったのではないかと思います。

 

3 オーダーメイドの机

旧居の中で、唯一西洋風と言えるものは八雲が使っていた書斎机です。背丈に合わせているのかもしれませんが、机と椅子ともに足が長い仕様になっています。教員職ですから、書き物や書類を扱うのに机は仕事道具として必須の家具です。長時間使う物でしょうから使いやすいようにそこだけはこのような椅子と机という形になったのかもしれません。けれど、その机も庭を臨む和室に設置してあり、もちろん襖をつければ他の部屋との仕切りはできますが、あくまでも仕切りでしかないので、いわゆる仕事用に独立した書斎とは様子が違います。また、西向きのガラスの引き戸に接するように置いてあるので、夕方には庭と一緒に夕陽も見る事が出来たと思います。