あべのハルカス美術館・展覧会

大阪に長期出張で滞在している休日、望んだ出張ではないが、この際、前向きにイロイロ見てやろうと訪れた一つが、あべのハルカスで開催されている特別展「長谷寺の名宝と十一面観音の信仰 」だ。

 

休日だし、どれほど混雑するかわからない。しかも土地勘のない大阪。早めに宿を出て、10時の開館前に到着。
しかしあべのハルカスには無事についたけど、美術館への行きかたがわからない。近鉄デパートの店員に聞いてやっと判明。展望台の受付行きと同じエレベーターで16Fに行けという。・・・そんなのわからんです。
エレベーターは何かテンションの違う人たちと同じ箱。こっちは仏像目当てで、大半の人は、日本で一番高いビルの展望フロアがお目当てw
そのトーンの違いのキャピピャピトークもも美術館の入口まで、入ってしまえばこっちのものだった。早く行った甲斐もあるんだろう、静かに見ることができた。

 

時代を下りながら展示されていて、見るべきものはほぼ前半に集約されているといっていいだろう。十一面観音への信仰とその変遷を追う展示。
後半は、おまけというか、なんというか。
いろいろ良いものがあったが、岡寺の如意輪観音半跏思惟像が印象的。本長谷寺の銅板法華説相図も強烈。

 

その中でもやはりメインは、ポスターにもなっている長谷寺本尊の脇侍の雨天童子と難陀竜王。
展示の順番から言えば中ほどだ。
ガラスケースなんてない。ロープだけ。思い切り近くまで見ることができる。彩色もよくわかる。照明は保護のため暗めにはしているけれど、長谷寺の本堂では、こんなにハッキリ見ることはかなわない。
悲しいことに仏像の魅力を文章で語るのはとても難しい。まあ小林秀雄とか白洲正子なんて、有名どころのひとが一杯いい文章書いているからな。
立ち去りがたいが、疲れもしてきた。ありがたいことに、少し距離をおいてソファーもある。じっくり拝させてもらえた。

 

続けて最後まで順路に従って展示を見て回ったが、出口付近で引き返し、もう一度、雨天童子の前へ。
見ているうちに思う。あぁ・・・。なんか長谷寺行きたくなってきたなあ。最後に行ったのは20年くらい前かなぁ。
主要な仏像は、ここへきていて、行っても空間だけなんだけど。でも本尊には勿論会えるよな・・・。
「十一面観音の信仰」だしなあ、展覧会のテーマは。
仏像は寺で見ないと、本当の魅力はわからないって言ったのは、誰だっけ、白洲正子だったかな。
このさい誰でもいいか、よし、行こう!

 

美術館を出たのは11時。近鉄特急を探して飛び乗って、2回乗り継ぎ、長谷寺前の駅に降り立ったのは12時半だったなか。
駅から寺前の商店街をけっこう歩く。そうだ、20年前は、ここの骨董屋で、銘々皿を買ったな、大正時代の。明治はないだろう。
昔を思い出しながら、長谷寺へ。ぼたんは咲いてないけど、梅がたくさん迎えてくれた。
通常の入山料の他に、特別拝観だと、本尊十一面観音の足元まで入れるという。
そりゃあ、ここまではせ参じたもの好きだもん、特別拝観するしかないでしょw

 

で、内陣を奥のほうまでいくと、巨大なんで、本尊の足しかまともに見えないw うん、これはちゃんと拝するには、外からのほうがいいね。でも内陣に描かれた壁画をしっかり見ることができた。これは外からは見えない。

 

何だか順番がどうなんだろうと思いつつw、普通の参拝のルートへ。脇侍はもちろんあべのハルカスへお出かけ。
それでも。
美術館で見てきた強烈な印象と、寺の本堂の持つ空間的な意匠が頭の中でしっかり結びつく。
来てよかった。20年前の記憶から欠落してしまったことを思い出し、そして気がつかなかったことなども、今回結晶化できたように思う。

 

宝物殿も無料で見れるので立ち寄った、まあ、いいものは、今回はお出かけなんですよね。
大丈夫、あっちで見てきましたから。

 

参道を下る。もういい時間。おなかも空いた。
近鉄に乗って長谷寺に向かう時から、昼飯は、にゅうめんと決めていた。
20年前、この長谷寺の参道のお店で、はじめて、にゅうめんというものを食べたのだ。同じお店かどうか自信はないが、それらしいお店に入る。
薄味だがしっかりしたダシ。うまく戻された干し椎茸、柔らかく巻かれダシをしっかり吸ってくれている出し巻。汁まで完食。

 

お店の人に尋ねる。20年前もここでやってましたか?勿論との返事。主人は4代目ですよ。
観音様の門前で、当たり前のように四代目だという。
生活も家族の歴史も、いろんなことが長谷寺を中心に動いてきているんだろうなぁ。

 

そういう人生を、若い頃の自分は、けして肯定的に、ポジティブな捉え方をしなかった。
むしろ、ネガティブに・・・というか、もっと自分には、いろんなことができるのだ、やるんだと思っていただろうな。
軽蔑?憐み?とまではいかなくても、自分とは違う、と。

 

歳をとったのかね。
それはそれでとても豊かなことじゃないか、大事なことを貫いているんじゃないかなんて思う。

 

なんだかいろいろ満たされて帰路につく。
強行軍だけどやってよかったな。

 

By Teru 2016/3掲載


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