国立国際美術館

ルカス・クラーナハ(父、1472-1553年)といえば、ユディトやサロメをはじめとする神話や聖書の女性像で有名です。しかし彼は、大型の工房を開設して絵画や版画の大量生産を行い、マルティン・ルターの肖像画を数多く世に送り出しており、その肖像画がきわめて短期間に変化していくことが『クラーナハ【ルター】 イメージの模索 』(マルティン・ヴァンルケ著、岡部由紀子訳、三元社)に詳しく述べられています。当初は、厳しい顔つきをした敬虔なアウグスティヌス会修道士としてのマルティン・ルターから、聖人のような趣をもつものを経て、やがて宗教改革家としておだやかな眼差しをもったルターへと変わっていくのです。いわばこれはイメージ戦略でした。これに大きく関わったのがクラーナハです。この意味で彼は今日の広告代理店のような役割を果たしていたといえるかもしれません。クラーナハ展では、最後のコーナーでルターと宗教改革に関して取りあげられており、クラーナハが手がけたたくさんのルターの肖像画に出会うことができます。1517年、ルターがヴィッテンベルクで95箇条の論題を発表して始まった宗教改革から500年。彼の工房でルターの肖像画を扱わなかったら、この歴史的事件のその後の展開は違っていたかもしれない。東京の国立西洋美術館で開催され巡回展となる大阪でのクラーナハ展。実はすでに東京で観覧済みですが、やはり、もう一度見たい!と思ってしまいます。そう思わせるだけの魅力が、クラーナハの絵にはあるのです。
ゆとわ (50代女性) 掲載:2017/3


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