「アート・スコープ2012-2014」

「アート・スコープ2012-2014」

品川駅でぽっと時間ができたので、地図を見ながら秋雨の中歩いて行ってみることにした。有名な美術館なので、看板も出ているだろうし、近づけばそれらしき建物が見えるだろうとのんきに歩いていたら、迷った。 大きな木の下で地図を何度も確認しながら入っていったのは、住宅街。他の民家より少し立派な門があり、もしやと駆け寄ると、そこが原美術館だった。ぱっと見は古めかしい医院のような建物。雨のせいか人気のない路地からおそるおそる入っていった。痛いような明りではなく、やさしい温かみのある照明で迎えてくれ、肌寒さを感じていた私を安心させた。 ちょうど学芸員の方の解説が始まるところだったので、ふらふら見ながら、耳を傾けた。 美術は己で感じたことがすべて、という考えを持っていたので、解説は必要ないと思っていたが、盗み聞きしていたら、さらっと見ただけではわからなかったことが多くあった。 たとえば、多くの写真が並ぶ作品。ほとんどが日本で撮影されたが、一つだけ外国のものがある、というのだ。私は全部日本の風景だと思っていたので、それには驚いてもう一度見直した。 他にも作家の狙いなど、やはり作品を創るからには伝えたいことがあるのだと、改めて考えさせられた。 元が民家のようで、小部屋を出たり入ったり、階段の先のタイル張りの細長い通路を通ったり、知人の家を探検しているようだった。 中でも、奈良氏の作品は一番奥の部屋のドアを開けた先にあった。それはまるで、奈良氏がちょっと出かけた隙に忍び込んだような気分になる小さな空間だった。犬たちの逃走防止に設えられたような柵の外から覗き込む。 生活を感じさせる作品は多々あるが、侵入罪で捕まるのではないか、という恐怖さえ感じたのは初めてだった。 美術館を出るときは、本当に知人宅に遊びにきた帰りというような、楽しい時間を過ごした余韻を纏っていた。
Byゆちこ(30代女性)記事公開:2015/2


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