板橋区立美術館

「版画といっても、錦絵とも山水画とも違った味わいがある」というのが、展示作品を見た印象です。外国との唯一の窓口であった長崎ならではの光景を、必要以上に作り込まず、ある意味で素朴な形で表現した作品が多かったと思います。また長崎版画は、初めのころは中国の版画の影響を受けていたようですが、江戸の技法が加わるなど独自の発展を遂げた様子が、展示作品から伝わりました。作品を見ていると、数年前に長崎へ旅行したことを思い出します。
さてこの企画展では、第1展示室に長崎版画、第2展示室には版画に加えて長崎版画の関係者による肉筆画が展示されていました。肉筆画は日本画の技法を用いて異国を描いているような感じで、秋田蘭画に通じるものがありました。解説にも秋田蘭画に言及している箇所があったと記憶しています。また肉筆画は、作品が出された当時の長崎や、長崎版画を理解するうえでも役に立ったと思います。
他方で肉筆画の展示の多さや展示スペースの使い方から、長崎版画には不明な点がまだたくさんあり、現存する作品も多いとはいえないことがうかがえました。とはいえ長崎版画は、それだけ希少性のある作品だと言い換えることができるでしょう。そうした作品群に焦点を当てた企画自体がユニークだといえます。

 

Lisa Aoki Mar 2017


錦絵とも山水画とも違った味わい 「長崎版画と異国の面影」(板橋区立美術館)関連ページ

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