五島美術館

季節の移り変わりを実感し、古い時代の作品にふれる 「和と漢へのまなざし」

どちらかといえば、作品よりも庭園を目当てに行きました。二か月半ぶりに足を運んだ庭園ではヤマブキやシャガが咲いていて、ツツジが蕾をつけていたので、季節の移り変わりを実感します。できることなら月に一度は庭園を訪れて、いろいろな植物を観察したいところですが、なかなかそうもいかないのが現状です。
さて作品の方は、展示室1で和漢朗詠集の写本や三十六歌仙の肖像画、源氏物語絵巻の模写、絵巻物の断簡などが展示されていました。見ていて気付いたのは、「沙門地獄草紙断簡」や「北野天神縁起絵巻断簡」といった作品が、キリスト教を題材にした西洋画よりも個人的に親しみやすい、ということです。自分が受けてきた教育や、文化的な背景となどについて改めて考えさせられました。
また展示室2では大東急記念文庫創立七十周年記念特別展示の第一部として、桃山時代より前の絵画や写本が多く展示されていました。書物の内容は難しいかもしれませんが、それはともかく、古い作品を良い状態で保存し続け、後世に伝えていこうとする姿勢には敬意を表したいです。
Lisa Aoki 2019

 

新たな気づきがあった「館蔵 茶道具取合せ展」

毎年12月から翌年2月にかけて開催される「茶道具取合せ展」には何度も行ったことがあり、既に見たことのある作品もそれなりにあります。とはいえそうした作品を改めて見ると、新たな気づきがあるものです。
例えば、茶室「冨士見亭」。履物を履いたまま腰掛ける立礼席で、何回か見学したことがあります。この茶室は畠山即翁が建てた茶室「沙那庵」を参考にしたそうですが、数日前に畠山記念館で沙那庵を見学した後に、改めて冨士見亭に足を運んでみて「なるほど」と思いました。どちらも細長い部屋で、長いテーブルと腰掛が備え付けられています。茶道文化検定3級のテキストに出てくるような、オーソドックスな構造の茶室とは異なる趣で、茶人の好みが反映された斬新な茶室だといえそうです。
新たな気づきをもう一つ。「古伊賀水指 銘 破袋」は五島美術館の代表的な館蔵品で、国の重要文化財にも指定されています。この水指も何度も見たことがありますが、今回改めて気づいたのは蓋です。水指の口に合わせて作られた塗り物の蓋が添えられていました。たいていの場合、この水指は蓋のない状態で展示されるので、「こんな蓋があったのか」と実物を初めて見て気づかされました。「破袋」の蓋が共蓋(水指本体と同じ素材でできた蓋)だったのか、それとも別に蓋があったのか、といったことは、過去に意識したことがありませんでした。
Lisa Aoki Jan 2019

 

好みの違いが何となくわかる 「東西数寄者の審美眼」

 

阪急電鉄の創業者・小林一三(いちぞう、雅号:逸翁)と、東急グループの基礎を築いた五島慶太(雅号:古経楼)のコレクションを紹介した展覧会です。展示品は大阪府池田市の逸翁美術館と、五島美術館の収蔵品で、絵画、書跡、茶道具など100点にのぼります。五島美術館における今年度の企画展の中でも、特に充実した内容だったといってもよいでしょう。
作品を見ていると、逸翁美術館の所蔵品だとすぐにわかるものが何点もありました。例えば、エミール・ガレ作の草花文ガラス壺。曇りガラスに紫色で草花が描かれた壺で、もともと茶道具でなかったものを逸翁が茶器に見立てたそうです。漆塗りで、日本的な意匠の茶器には見られない、個性的な味わいがありました。
このほか蒔絵螺鈿花鳥文洋櫃、朱地桐文丸棗、祥瑞横瓜香合など多くの作品に逸翁の好みが表れていたように思います。傾向としては、斬新さがありながらも上品、といったところです。
同時に古経楼の好みの傾向も、何度も美術館に足を運んでいるうちに漠然とつかめたような気がしました。こちらはちょっと渋めで乙な味わい、といえそうです。By Lisa Aoki Dec 2018

 

白隠禅師の作品が印象に残った 「館蔵 秋の優品展 禅宗の美術と学芸」

鎌倉時代から江戸時代に至るまでの書画や墨蹟、出版物などを集めた企画展です。禅宗美術というと難しそうなイメージがありましたが、実際に作品を眺めてみると、案外そうでもなかったと思います。書や墨蹟に書かれている内容よりも、むしろ作者の筆跡の違いや、作品と表具との組み合わせを味わうような感じで鑑賞しました。禅僧らしくきちんとした感じの作品もあれば、柔らかい感じの作品もあって、筆跡に作者の個性が表れているように感じます。特に白隠禅師の、対象物を柔らかい筆致でどこかユーモラスに描いた作品が印象に残りました。
また特集展示として、館蔵の陶芸作品も公開されていました。私が行ったときは自然光を取り入れた形で鑑賞できるようになっていて、「古伊賀水指 銘 破袋」「志野茶碗 銘 梅が香」「古備前平鉢」といったなじみのある作品も、普段展示室を暗くしているときとは違った味わいがありました。
さて今回は、久しぶりに庭園を散策しました。ところどころに咲く赤や白のヒガンバナが、秋の訪れを感じさせてくれます。
By Lisa Aoki Sep 2018

 

書跡は難しかったけれど…「館蔵 秋の優品展 心の旅」

展示室1には、「旅」をテーマにした絵画や書跡などが展示されていました。全体的に書画や墨跡が多く、書の心得がない私には内容が難しかったです。とはいえ作品と表具とのマッチングはどれも絶妙なもので、掛け軸や色紙の全体を味わうという感じで眺めていました。他方で東海道などの名所旧跡を描いた作品は、現代にも通じるものがあり、見ていてわかりやすく親しみが持てました。
意外と面白かったのが、展示室2での茶碗の展示でした。楽家代々の作品が一堂に展示されていました。遠目に見ると同じような黒楽茶碗でも、よく見ると形状や釉薬のかかり具合、色艶などが微妙に異なります。こうした差異に面白さを感じる、という向きを少しばかり理解できるような気がしました。
By Lisa Aoki Sep 2016

 

 


書跡は難しかったけれど…「館蔵 秋の優品展 心の旅」五島美術館(東京都世田谷区)関連ページ

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