畠山記念館

茶懐石で使われる膳、盆、椀、鉢、向付、酒器などを集めた展覧会です。畳敷きのコーナーには、季節の書画が併せて展示されていました。懐石道具も書画も会期の前半と後半でかなり入れ替えが行われていて、前半には冬や正月にちなんだ作品、後半には梅、桜など春にちなんだ作品が多くなっています。茶の湯の世界で季節感を大切にしていることを実感できた同時に、後半だけでなく前半の展示も見ればよかった、とつくづく思いました。
今回の展示で特に着目したのは、盃と煮物椀です。
茶懐石でははじめに銚子と引盃で儀式的な一献を交わして、途中から徳利や石盃をまじえてくつろいだ場とするそうです。その時に使う石盃は人数分の違った種類を持ち出すことになっていて、形や色、産地などが異なる盃から自分の好みを選ぶ楽しみがあるとか―。展示されていた石盃はいかにも酒を飲むために作られた感じのものから、抹茶茶碗のミニチュアのようなものまでバラエティに富んでいたので、見ていて面白かったです。
煮物椀は、茶懐石のメインである煮物を盛り付けるものなので、意匠が豪華になる傾向があります。蓋や内側に凝った絵柄の蒔絵が施された煮物椀は、使うのがもったいないような感じです。またショーケースには煮物椀そのものだけでなく、実際に料理が盛り付けられた写真も展示されていました。写真があると具体的にイメージしやすく、器も料理も目で楽しめる一方、器を使うだけでなく料理を食べるのももったいないような気がします。
さらに今回の展示では、古筆を改めて見直しました。これまで古筆というと、何が書いてあるかがわからずに敬遠していました。でも展示されていた「堺色紙」(伝藤原公任筆)は、丁寧な解説のおかげで、鳥や草の下絵を描いた料紙に梅を詠んだ和歌を書いた作品だとわかりました。一見難しそうな古筆でも、内容がわかるようになれば、季節や茶会の趣旨に合った作品を選ぶ面白さも体感できそうです。

 

Lisa Aoki Feb 2018


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