森アーツセンターギャラリー・展覧会

エルミタージュ美術館が所蔵する16−18世紀のヨーロッパの絵画を国/地域別にまとめて展示していたので、企画趣旨がはっきりしていて、各国の絵画の特徴がよくわかる構成になっていました。ルネサンス期から18世紀までのヨーロッパの絵画史を丸ごと勉強させていただいたような気がします。
展覧会は6章構成でした。以下、章ごとの感想を述べておきます。

 

第1章のイタリアでは、特に18世紀の都市景観図が印象に残りました。イタリア絵画というとルネサンス期に描かれた宗教画のイメージが強かったので、「このように親しみやすい作品もあったのか」と改めて見直しました。

 

第2章のオランダでは、風景画、風俗画、静物画など世俗的で親しみやすい作品が中心でした。見ていて安心できます。
同時に改めて気づいたことも一つありました。作品の解説ではバロック絵画の特徴として「鮮やかな色使いと、立体感のある形態が暗い背景に浮かび上がる」といったことをあげていましたが、「暗い背景」というのはバロック音楽の通奏低音に通じるところがあるように感じました。暗い背景や低い音が、近代の絵画や音楽に比べて重々しさを感じさせる一方、対象物や主題を引き立てている、というのが共通点なのでしょう。

 

第3章のフランドルの絵画は、全体的に丁寧に描き込まれていて、題材の取り合わせや構図が面白かったです。その反面寓意性が強く、解説がなければ作品を表面的に眺めるだけに終わってしまいそうな気がします。

 

第4章のスペインの絵画は、難しい題材を親しみやすい形で表現しようとする傾向が見られました。例えばフランシスコ・デ・スルバラン「聖母マリアの少女時代」は、宗教を題材にしていながらも普通の肖像画のような感じでした。

 

第5章のフランスでは、バロックとロココの違いがよく表れていました。バロックの絵画が厳格で重々しい作風だったのに対し、ロココの絵画は軽やかで柔らかく、優美な感じです。個人的にはロココの作品の方が親しみやすかったです。

 

第6章のドイツ・イギリスでは、歴史的な影響もあったのか、展示作品が少なめでした。とはいえルカス・クラーナハ「林檎の木の下の聖母子」と、トマス・ゲインズバラ「青い服を着た夫人の肖像」が特に目を引きました。

 

Lisa Aoki Jun 2017


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