静嘉堂文庫

この展覧会で特に印象に残ったのは、酒井抱一の作品です。琳派の華麗さやデザイン性を受け継ぎながらも、琳派には見られない柔らかさや繊細さが感じられました。抱一が琳派のみならず狩野派など様々な画風を学んだうえ、俳諧、狂歌など幅広く文芸をたしなんだことが、作品の柔らかさや繊細さに表れているのではないかと思います。展示作品の中には自筆句稿『軽挙館句藻(けいきょかんくそう)』や、洒落本、狂歌本などもあり、抱一の多才ぶりがうかがえました。
ところでこの展覧会の目玉は、俵屋宗達「源氏物語関屋・澪標図屏風」でしょう。国宝に指定されていて、3年かけて修理を行ったうえで展示されました。パンフレットには鑑賞のポイントや修理作業に関する説明があります。修理作業の様子を写真付きで詳しく解説したパネルもありました。パンフレットやパネルの解説自体は、興味深く読むことができました。
さらに美術館のラウンジでは、2種類の茶碗が展示されていました。国宝「曜変天目(稲葉天目)」と重文「油滴天目」です。自然光が入る明るい場所で、前後左右から茶碗を見られるように展示していたあたりに、主催者の意気や心遣いを感じました。明るいところで見る天目茶碗は、なかなか趣があってよいものです。
この展覧会は、美術館のリニューアルオープン後に初めて開かれるだけあって、見どころがたくさん盛り込まれていたように思います。とはいえ個人的に一番強く印象付けられたのは、やはり酒井抱一の作品です。

 

By PingPongBooks 2015/12


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