静嘉堂文庫

かつて岩崎家が所蔵していた、五世大木平藏作の雛人形。戦後に散逸しましたが、やがて人形愛好家・桐村喜世美氏によって集められ、2018年に岩崎家ゆかりの静嘉堂に寄贈されました。これを記念して、この展覧会が開催されたのです。
個人的に一番印象に残ったのは、「木彫彩色御所人形」です。三菱第4代社長・岩崎小彌太の還暦祝いに孝子夫人から贈られたもので、卯年生まれの小彌太にちなんで人形はすべてうさぎの冠をかぶっています。鯛車曳、楽隊、宝船曳、輿行列、餅つきを表した御所人形は、どれも生き生きとしていて楽しそうです。木彫でありながら、人形が身に着けている衣服の質感がよく出ていました。五世大木平藏の傑作とうたわれるのもうなずけます。
展示作品のメインである雛人形と雛道具も、上質の素材を用いて丁寧に作られた優品です。内裏雛のかわいらしい表情と、細かいところまできちんと実物を再現した雛道具が目を引きました。人形の衣裳や雛道具に関する解説も充実していて、読みごたえがありました。こちらは岩崎小彌太が孝子夫人のために、五世大木平藏に特別に注文したもので、「他にはない人形」という注文通り、他では見ることのできない雛人形だったと思います。

 

Lisa Aoki 2019


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