世田谷美術館

NHKの連続テレビ小説の影響に加えて、私が行ったときは会期終了間際だったこともあり、会場はものすごく混雑していました。とはいえスペースを十分にとって作品などを展示していたので、混雑にもかかわらず割と落ち着いてみることができたと思います。
受付を済ませるとまず「第Y章 花森安治の『あいうえお・もの図鑑』」から始まりました。第Y章から順路がスタートするのもさることながら、花森安治にちなんだものを、「あ」で始まるもの、「い」で始まるもの、というように五十音順に1点ずつ展示・紹介していたところがユニークだと思いました。
その後第T章から第X章まで時系列に展示を見ていきます。順路に従って展示を見ていくと、戦前から戦時中、そして戦後の復興から高度成長期へと時代の移り変わりがまざまざと感じられました。全体として、花森安治は戦前・戦中に基礎を固め、高度成長期に多彩な才能を発揮したという印象があります。取材や執筆だけにとどまらず、イラスト、写真、広告制作、装幀、レイアウトなどを幅広く手掛けた花森は、まさに「多才」「多彩」「マルチタレント」といった言葉がぴったり当てはまるような気がします。
ところで第X章の展示からは、他の展示とは違った傾向が感じられました。最晩年に手掛けたものを中心とした展示だったためか、何かを超えて社会全体を俯瞰するような、過去を振り返るような、そんな感じがしました。おそらく大病を患ったことを機に、そのような境地に達したのでしょう。そうした境地は、クラシック音楽でいえばベートーヴェンやショパンの晩年の作品に通じるものがあるように思います。

 

Lisa Aoki Apr 2017


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