東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館 ・展覧会・イベント

明治から昭和にかけて活躍した画家・吉田博の生誕140年を記念した回顧展です。作品は時系列に展示されていて、前半は水彩画を中心とした展示でした。中盤から油彩画が多くなり、後半は油彩画と版画が中心の展示となっています。
作品を時系列に見ていくと、水彩画と油彩画の両方で培ったものを、版画に昇華させたような印象を受けました。もっと詳しくいうと、水彩画の細やかさと、油彩画のダイナミックさが、従来の日本版画にない表現―微妙な光の感じ、ニュアンス、空気感といったもの―を生み出したのではないかと思います。
ユニークなのは、第二次大戦中の従軍期に描いた油彩画やスケッチです。特に「急降下爆撃」「空中戦闘」といった、戦闘機の目線から描いた作品は珍しいと同時に、戦時中の記録や資料としても貴重だといえそうです。
恥ずかしながら、この展覧会のパンフレットを目にするまで、私は吉田博の名前を知りませんでした。でもそのために、かえって変な先入観がなく作品を鑑賞できました。作品を一通り見た印象は「多才であると同時に、一本筋の通ったものがある」といったところです。
吉田博は水彩画も油彩画も版画も手掛け、日本画の画材や技法を用いた作品も残しているので、ある意味で多才だったと思います。その一方で毎年のように日本アルプスの山に登り、山岳風景を描き続けたところには、一本筋の通ったものを感じます。解説には「気骨の画人」という表現がありましたが、それが私の感じた「一本筋の通ったもの」ではないかと思いました。


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多才であると同時に、一本筋の通ったものがある 「生誕140年 吉田博展」 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館(東京都新宿区)関連ページ

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