東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館 ・展覧会・イベント

風景画を中心に、ターナーの作品を一堂に集めた展覧会です。
ターナーは風景画を多く描いた、ということは漠然と知っていましたが、作品に使われた画材や技法までは特に意識していませんでした。この展覧会を通じて、さまざまな画材とさまざまな技法を駆使してさまざまな風景を描いた画家、というようにターナーについて認識を深めることができました。
この展覧会のユニークなところは、展示の順番です。一人の作家に焦点を当てた展覧会では、初期の作品から晩年の作品まで時系列に展示していくことが多いです。ところがこの展覧会では作品を時系列に展示せず、「地誌的風景画」「海景」「イタリア」「山岳」と4つの章を設けて、テーマごとに作品を展示していました。例えば、「山岳」の章では山岳を描いた作品を集中的に展示します。1つの章の中には初期の作品もあれば晩年の作品もありました。テーマごとに作品を展示するのはなかなか面白い方法だと思います。
それから、ターナーは実に多くの画材と技法を使いこなして水彩画や版画を手掛けたので、画材や技法に関する解説が充実していました。こうした解説は、作品を味わう上で大いに役立ちます。
さて展示作品の中で異色と思われたのが、「キリスト教の黎明(エジプトへの逃避)」です。円形の画面にぼんやりした輪郭で景色を表している様子は、初期の風景画に見られる細やかな筆致とは趣が全く異なり、敬虔さや厳かさ、晩年の心境といったものが感じられました。

 

Lisa Aoki Jul 2018


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