サントリー美術館・展覧会・イベント

学校の教科書だけでは学べないものがたくさんあった「寛永の雅」
江戸時代前期、17世紀前半の寛永年間に作られた作品を中心とした展示です。4階の展示室には17世紀前半に作られた代表的な作品と、後水尾院を中心として栄えた宮廷文化にまつわる作品が展示されていました。3階の展示室には小堀遠州の好みの茶道具、野々村仁清が製作した陶磁器、そして狩野探幽による絵画が展示されていました。全体の構成がわかりやすく、公家や武家といった身分や、絵画・陶芸・書道・茶道といったジャンルを超えて、寛永という時代に醸成された文化を大局的にとらえられるようになっていました。学校の教科書だけでは学べないものもたくさんあったと思います。
特に印象に残ったのは、仁清による落ち着いた作風の陶芸作品です。それまで仁清というと、華やかな色絵というイメージがありました。でも華やかな作品ばかりでなく、顧客の注文に応じて落ち着いた感じの作品も多く作っていたところに、職人としての仁清の一面を見たような気がします。

 

 

華やかな作品が多い一方、衝撃的な作品も 「ガレも愛した―清朝皇帝のガラス」
中国・清時代のガラス工芸品と、その影響を大きく受けたフランスの装飾芸術家、エミール・ガレの作品を中心とした展覧会です。4階の展示室には中国の作品、3階の展示室には中国の作品とガレの作品、そしてエピローグとして清時代に作られた鼻煙壺(嗅ぎ煙草を入れる小さな壺)が多数展示されていました。全体的に華やかで凝った作りの作品が多く、見る人の目を楽しませてくれました。清王朝の栄華がしのばれます。
ガレの作品は、清時代の作品をそのまま再現したようなものもあれば、中国の作風を昇華させて自分なりの世界観を表現したようなものもありました。いずれにしても、ガレの技量の高さがうかがえます。
ところで衝撃的だったのは、「クリズリング」という、成分バランスの問題から生じるガラスの病気です。進行すると透明性や輝きが失われ、最終的には崩壊に至るそうです。クリズリングが進んだ作品が実際に展示されていましたが、もともと藍色だった器がクリズリングのために変色している様子は、見ていて何とも哀れな感じがしました。

 

琉球国王尚家関係資料が圧巻 「琉球 美の宝庫」
とにかく見ごたえのある展覧会でした。4階の第1展示室に染織と絵画、3階の第2展示室に琉球国王尚家関係資料、第3展示室に漆芸および鎌倉芳太郎氏による記録を展示するというわかりやすい構成で、内容も非常に充実していました。
なかでも圧巻だったのは、国宝に指定されている琉球国王尚家関係資料です。とりわけ「王冠(付簪)」は色鮮やかな石がたくさん散りばめられていて、豪華で風格があり、展覧会の目玉といえるだけの圧倒的な存在感を誇っていました。この王冠は絵画や写真にも残されていることから、大切に受け継がれていたことがわかります。また華やかな色合いの衣裳や朱塗りの盆に杯や食籠などが載った「美御前御揃」なども、国宝にふさわしい美しさと品格がありました。
他のジャンルの作品も、本土にはない、琉球で生まれた作品ならではの魅力がありました。力強い色味の紅型や落ち着いた趣のある絣、那覇港を活き活きと描いた屏風や中国の影響を強く受けた絵画、大胆さと精巧さを併せ持ち、ユニークなデザインの漆芸品などは、琉球の気候風土やそこに住んでいた人々の気質を反映しているような感じがします。

 

Lisa Aoki 2018

 


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